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第4話『アルス、憂鬱、食堂にて。』【魔法に失敗して10歳若返りました☆】

第3話『私の楽園』【魔法に失敗して10歳若返りました☆】目次はこちら https://kokutendo.com/i-failed-my-magic-and-turned-10-year...

なんとか午前の授業が終わり、羽根を休めるため学園食堂に移動する。

学園食堂はバイキング形式で、白い皿や金属のトレーにはライス、パン、サラダ、肉、フルーツ、スイーツなどが盛られており、

透明な瓶には牛乳、紅茶、フルーツジュースなどの飲み物が入れられている。

そこに、お腹をすかせた生徒たちが我や先にとトレーへ収めていく。

そんな生徒たちが群がっている学園食堂のテーブルに1人でうつ伏せになる私。

いつもなら食べながら本を読むのだが、今日はそんな気がしない。

理由は午前中だけで今日の分の精神力をすべて使い果たしたからだ。

ホームルームの出来事を心の中で嘆いていると、そこに芳しい香りと聞き覚えのある足音が近づいてきて、私の前でピタリと止まった。

うつ伏せの状態から顔を上げると、大きい体が作り出した影が私の顔を覆い尽くす。

まぎれもなくメルヴィルだ。

「おいおい大丈夫か?もう少しで長期の休みになるんだから頑張れよな!」

的外れの慰めをいただく。

私が今置かれている現状をしたないのは無理もない…

「メルヴィルさーん!、もう私だめかもしれないのじゃ!助けてくれなのじゃ!!!」

完全に体を起こし、半分涙目になりながら彼に愚痴をぶつけた。

「いっ、一体どうしたんだ!?」

「わ、私の楽園が奪われたのじゃ!!!」

「なるほど、わかったけど、わからん…」

驚いた顔から半分飽きれた顔をする彼。

心の嘆きをそのままぶつけても当然理解されなったので、ホームルームに起きた悲劇をすべて話すことにした。

「…っということなのじゃ」

「そりゃ災難だったな…これでも食って元気を出してくれ!」

私の横にお皿を置く。

そこには、ふんわりとしたトーストを囲むようにサラダやハムなどが盛られていた。

メルヴィルが選んでくれた昼食である。

私はそれを泣きながらも飢えた狼のごとくむさぼり食べた。

「それにしてもお前、本のことになると性格変わるよなー」

「自分の生命線のためなら本来の自分を捨てでも守るのじゃ!魔法、本、猫に関しては誰にも譲れないのじゃ!」

「俺は含まれていなのか…」

小言をもらしながらメルヴィルも自分の昼食を食べ始める。

いつもなら片手で本を読みながらの昼食なのだが、今日は珍しく本を読むのをやめて彼との会話を少し楽しみながら食事をした。

お互い半分くらい食べ終わったあたりで、私は彼に愚痴をもらす。

「このままでは、この学園に私の居場所がなくなるのじゃ!」

「なら早く元の体に戻らないといけないな」

「ごもっとも…じゃ」

当然ながら、この体を元に戻さない限り私の楽園に帰還できる望みがない。

私の楽園を取り戻すには早く元の体に戻る方法を見つけなければならない。

「ところで、どんな魔法を使ったか詳しく教えてくれないか?」

禁書を渡す。

今まで誰にも見せていない禁書を彼に渡した。

「なんとかならんかのぅ…」

「うーん、古い文字で書かれているし、見た感じかなり難解な本の様だな」

禁書は古い文字で書かれており、私自身、すべてのページを解読できたわけではない。

「しばらく貸してくれないか?」

「わかったのじゃ!お願いするのじゃ!」

肌身離さず持っていたが、今回はいつもお世話になっている彼に禁書を渡すことにした。

また、いつものように彼の力で元の体に戻れることを期待しつつ、昼食を終えた。

話すことも話して、教室に戻ろうとする私に彼はこう言った。

「今日一緒に帰ろうな!」

第5話『橋の上の子ども』【魔法に失敗して10歳若返りました☆】目次はこちら https://kokutendo.com/i-failed-my-magic-and-turned-10-year...
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